経理お役立ちブログ
2022/9/15
経理業務をアウトソーシングするメリット・デメリット
多くの会社が人材不足を抱えており、業務効率化のための方法を模索しています。その中で、会社のバックグラウンド業務である経理業務をアウトソーシングすることが注目されています。確かにメリットの多い経理のアウトソーシングですが、デメリットについても理解することが大切です。
この記事では、経理業務のアウトソーシングを検討する際に、ぜひ知っておきたいメリットとデメリットについて解説します。導入したあとに「こんなはずでは…」ということにならないように、両者を理解した上で導入を検討しましょう。
経理業務のアウトソーシング(経理代行)で任せられること
経理の業務は幅広く、量も多いものです。そのため、アウトソーシングを利用すれば大幅に業務を削減できます。経理業務全般を任せられますが、具体的には以下のようなものが挙げられます。
・売掛金の入金確認・消込
・請求書発行
・経費・旅費精算
・支払
・給与計算
・年末調整
・試算表などの経営データの作成
これらは比較的単純な作業であり、基本的にどの会社でも行う業務です。そのため、アウトソーシングする場合に引継ぎがしやすく、アウトソーシングを本格的に行うまでにそれほど期間を要しません。毎日のルーティンワークを任せられれば、経理の担当者をより重要な業務にあてることができます。
(関連記事)必要に応じて使える経理のアウトソーシング
経理業務をアウトソーシングするメリット
経理業務をアウトソーシングすることで、様々なメリットが得られます。詳しく見ていきましょう。
1.経理のプロによる正確で迅速な処理
経理業務のアウトソーシング先は、税理士・公認会計士事務所や経理業務を専門に行う会社などが挙げられます。いずれも経理業務に精通しているプロであるため、正確な処理を行ってもらえます。また、税理士が所属していたり税理士と提携していたりと、税務についてのサポートを受けることもできるため、心強い味方となるでしょう。
また、経理業務が担当者に属人化して非効率的な処理を行っている場合や、担当者でないとわからない状態になっている場合があります。そこでアウトソーシングを利用することで業務が標準化され、効率的で迅速な処理が期待できます。特に、クラウド会計ソフトを利用する場合は、処理の結果がすぐ反映されるため、迅速な処理によって経営状況をリアルタイムで把握でき、スピーディーな経営判断を行うことができるでしょう。
2.コスト削減
経理担当者を自社で雇う場合は、正社員だと少なくとも月20万円ほどの給料を支払うことになります。しかし、アウトソーシングする場合は、委託内容もよりますが月数万円から任せることができます。また、給料以外にも賞与や各種手当、社会保険料や備品、設備なども発生します。経理をアウトソーシングすれば、大幅な経費削減が見込めるでしょう。
給料のように直接従業員に支払うものだけではなく、従業員のためのスペース・パソコンなどの備品、採用や育成のための費用なども削減することができます。
(関連記事)経理業務のアウトソーシング(経理代行)でコスト削減は可能になる?
3.リソースの有効活用
会社の経営資源には限りがあるため、有効に使いたいものです。アウトソーシングによって削減した人件費などを他のことに回すことで、資金を有効活用できます。
人材も貴重な経営資源であるため、経理担当者にさらに重要な業務を任せるために、日々の煩雑な業務はアウトソーシングする、という考え方もできます。また、配置転換を行って、会社のコアとなる業務にあたってもらうこともできるでしょう。
4.状況に合わせて利用できる
経理業務は月1回や年1回など定期的な業務が多いものです。そのため、経理担当者を雇っている場合は、残業の続く忙しい時期もあれば、業務の少ない時期もあります。どちらの時期も基本的な給料は同じであるため、人件費がもったいないと感じる経営者の方もいるでしょう。
このような場合に経理のアウトソーシングを利用すれば、担当者を雇うより少ない経費で済むうえに、忙しい時期だけスポットで補助的に入ってもらうこともできます。また、経理担当者が退職した場合に迅速に業務を引き継ぐことができるため、業務の滞りを防ぐことができます。
5.退職で慌てることがなくなる。人材の採用や育成も不要に!
経理業務をアウトソーシングしておけば、従業員が突然退職し、引継ぎに困るということもなくなります。経理人材が不足し、採用難の昨今、退職した従業員と同じスキルを持つ人材を採用するのも大変ですし、採用後は自社の業務を覚えてもらうための育成が必要となります。
この点、アウトソーシングを利用していれば、突然の退職に慌てることもありませんし、人材の採用や育成のための手間・コストも不要になります。特に昨今は経理人材が不足していると言われており、採用が難しい状況にあります。
ただし、経理業務を安定的に受託できるアウトソーシング会社を選んでおかなければなりません。
(関連記事)属人化している経理業務の問題点とその対応方法
(関連記事)経理人材が不足する原因は?その解決策は?
6.労働環境の改善を図ることができる
働き方改革が叫ばれる昨今、労働環境の改善は多くの企業にとっての課題です。
経理業務のアウトソーシングを活用すれば、担当者の負担を減らすことができ、労働環境の改善に繋がります。
7.不正の防止にもなる
会社のお金を扱う重要な経理業務を特定の担当者に長期間任せていると、横領行為などの不正が起こってしまうことも珍しくありません。
アウトソーシングをして、自社とアウトソーシング先で業務を分担することにより、不正を防止することが可能となります。
経理業務をアウトソーシングするデメリット
経理業務のアウトソーシングにはデメリットもあります。良い面も悪い面も踏まえてアウトソーシングを検討するために、ぜひデメリットも知っておきましょう。
1.自社にノウハウが蓄積されない
経理業務を完全にアウトソーシングすると、社内に経理のノウハウを持つ社員がいなくなります。そのため、アウトソーシング先の行っている業務内容や業務状況がわからなくなるといったことが考えられます。特に、長期的にアウトソーシングを利用するわけではなく、将来的には経理担当者を雇いたい場合は、綿密な情報共有を行って業務内容やフローを把握しておく必要があります。
2.情報流出のリスク
会社や経営に関する情報を外部に委託することよって、情報流出のリスクが発生します。アウトソーシング先の情報の取り扱い方やセキュリティに関する対策を確認し、納得した上で契約することが大切です。また、クラウド会計ソフトを使う場合などは、不正アクセスの可能性もあることを理解しておきましょう。ただし、アウトソーシングを行わない場合もセキュリティのリスクは伴うため、どちらの場合も適切な対策を講じておく必要があります。
3.内容によっては割高に
料金形態はアウトソーシング先にもよりますが、多くの場合は基本的なプランに基本料金が設定され、オプションとして業務を追加できるシステムです。柔軟に対応してもらえるとはいえ、あまりにオプションが多くなると料金も高くなってしまいます。まずは任せたい業務を明確にしたうえで、担当者を雇う場合とアウトソーシングをする場合を比較して、利用するかどうかを判断しましょう。
4.綿密な連携が必要
経理のプロにアウトソーシングをするため、業務の内容については安心して任せることができます。しかし、任せる業務の分担や線引きを最初の段階でしっかりと行っておかなければ、認識の違いから誤った処理やトラブルになる可能性もあります。また、情報共有や連絡の方法によっては手間や時間がかかる場合もあるため、最初にしっかりと打ち合わせを行いましょう。
まとめ
経理は会社経営において重要な業務ですが、手間や時間のかかるものです。少子化の影響もあって優秀な人材確保も難しく、経理業務のアウトソーシング(経理代行)は注目されるようになりました。導入によるメリットがあればデメリットもあり、会社によってはアウトソーシングするメリットを得にくいこともあるでしょう。導入する場合としない場合を考慮したうえで比較して、慎重に検討してみてください。
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