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2023/11/30

年末調整とは?概要や手順を知って備えよう

年末が近くなってくると、総務や労務担当者は年末調整の準備を始めなければなりません。中小企業では、経理担当者が年末調整に関する業務を行うこともあるでしょう。しかし、「正直よくわからない…」「結局何をするの?」と思っている方もいるのではないでしょうか。
この記事では、年末調整の方法や担当者が知っておくべきポイントを紹介します。年末調整の基本的な意味についても解説しているため、ぜひ読んで役立ててください。

 

年末調整って何?

年末調整とは、源泉所得税を正確に計算し、過不足なく徴収して納税するために行うものです。
給与の支払いでは、その月の所得金額に応じた源泉所得税の額を会社が天引きし、税務署に納めています。しかし、毎月徴収する源泉所得税額は概算であるため、1年の所得が確定する年末に正確な源泉所得税額を計算し、納税の過不足をなくす必要があります。年末調整とは、この調整作業を指します。
従業員が具体的に行うことは、書類を記入して、必要な添付書類とともに担当者に提出することです。担当者は提出された書類をもとに、従業員一人ひとりの所得と納税すべき所得税を計算します。

 

 

年末調整の担当者と対象者は?

年末調整の処理は会社の総務や人事、労務などの担当者が行うことが多いものです。中には経理の担当者が行うこともあり、会社によって異なります。
年末調整の対象者は、対象は会社に努めている人すべての人です。正社員・パート・役員など、役職を問わず対象となります。個人事業主が雇用している従業員に対しても、年末調整は必要です。個人事業主本人は年末調整の必要はありませんが、確定申告は行わなければなりません。

 

 

年末調整はどのように行う?

「従業員として書類は書いたことがあるが、自分が年末調整を担当するのは初めて…」という方もいるかもしれません。年末調整の必要書類と具体的な流れを把握し、そのあとに担当者がすべきことを把握しましょう。

 

年末調整の必要書類

また、住宅ローンを借り入れて2年目以降の人も、年末調整で書類を提出する必要があります。用紙は会社が配布するのではなく、ローンを借り入れたタイミングで税務署から個人へ送られてきます。借り入れている金融機関から送られてくる「年末残高証明書」を添付して、会社へ提出します。

 

年末調整の流れ

担当者は提出された書類を確認し、正確な所得の金額を算出します。大まかな流れは以下のようになります。

・給与の総額と、源泉所得税として徴収済の金額を計算する
・給与の総額から給与所得控除をマイナスし、給与所得控除後の金額を出す
・そのほかの控除を確認して、課税給与所得を計算する
(課税給与所得=給与所得控除後の金額ーそのほかの控除)
・国税庁の速算表を参照し、課税所得金額に税率をかけて一定の金額を控除し、算出所得税額を計算する
・住宅ローン控除がある場合は、算出所得税額からマイナスして年調所得税額を計算する
・年調所得税額×102.1%で年調年税額を算出し、その従業員が負担すべき所得税を確定させる

従業員一人ひとりの所得税が確定したら、不足分は徴収し、徴収しすぎている分は返還しなければなりません。12月支払の給与や、翌年1月に支払う給与の額で調整されることが多いようです。

 

各機関への書類提出

年末調整の計算作業が終わっても、担当者の業務はまだ続きます。それぞれ期限があるため、発行・提出忘れのないように注意しましょう。

・所得税徴収高計算書を税務署へ提出(1月10日まで)
・源泉徴収票を発行して従業員へ渡す(1月31日まで)
・法定調書合計表・源泉徴収票を税務署へ提出(1月31日まで)
・給与支払報告書を従業員の住所のある市町村へ提出(1月31日まで)

 

 

会社の担当者が知っておきたいこと

年末調整の対象となるのは、その年に確定した所得の金額です。12月分の給与を翌年の1月に支払う場合でも、12月の時点で確定した12月分の給与も入れて、所得税を計算します。

また、本人と家族のマイナンバーが必要です。マイナンバーの取り扱いに注意が必要です。

今年中に転職してきた人には、前の職場の源泉徴収票を提出してもらわなければなりません。前の職場で所得税が源泉徴収されている可能性があり、それを計算に入れなければ正確な所得税の納税ができないからです。

 

 

分からない場合はアウトソーシングを検討しよう!

年末調整は複雑で、難しいと感じる方も多いものです。自社でできないと思ったら、税理士に依頼することを検討しましょう。
人事や労務といえば社会保険労務士(社労士)を思い浮かべる方も多いかもしれませんが、社労士に年末調整を依頼することはNGです。年末調整は税金を確定させる業務で税務の一つといえるため、依頼するなら税務を独占業務とする税理士でなくてはなりません。ただし、税理士資格も持っている社労士なら依頼は可能です。

年末調整をアウトソーシングするメリットについてはこちらの記事を参考にしてください。

(関連記事)年末調整業務をアウトソーシングするメリット

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まとめ

年末調整は、従業員一人ひとりの所得税額を確定させ、正しく納税するためには不可欠な業務です。従業員から書類を集め、必要に応じて記入のしかたへの質問に答えながら、遅れることなく処理を行わなければなりません。そのため、複雑な計算業務は税理士に依頼すると安心です。その場合でも、概要や一通りの流れを知っておくことで、従業員とのやり取りに役立つでしょう。