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2023/5/18

売掛金管理のポイントは?流れを理解してスムーズに管理しよう

経理業務の中で重要度の高い業務の一つに、売掛金管理があります。売掛金を確実に回収しなければ社内のキャッシュが足りなくなり、資金繰りがショートしてしまうかもしれません。この記事では、売掛金の基本から効率的な管理方法、売掛金管理業務の流れについて解説します。

 

 

売掛金とは

会社間の取引では、販売側は将来的に受け取れる代金を「売掛金」として計上し、一定期間分の代金の支払いを後日まとめて受ける「掛取引」を行うことが一般的です。頻繁に取引を行う場合は、購入側はいちいち支払いを行うと手間がかかり、販売側も入金確認が煩雑になります。そこで、月に一度「締日」を決めて、販売側が締日までの1か月間の購入代金である売掛金を請求します。そうすることでまとめて支払いを受けられ、入金のタイミングも一定になるため、売掛基金の管理や入金確認がしやすくなります。また、大量に購入してもらった場合は値引きを行うなど、購入量全体を見た対応も可能です。

しかし、売掛金はすぐにキャッシュとして入ってくるものではありません。販売と入金のタイミングがずれるため、今売掛金がどれくらいあるのか、いつ入金されるのか、確実に入金されているかなどを確認する必要があります。売上が立ってもキャッシュを回収できなければ資金繰りが苦しくなってしまいます。確実に売掛金を回収するためには、売掛金をしっかりと管理することが大切です。

 

売掛金と売上の違い

売掛金は商品やサービスを提供した対価として将来的に受け取れる代金を指すものです。代金をまだ受け取っていない場合に使う勘定科目であるため、いくら売掛金が多くてもキャッシュが入ってこなければ意味がありません。

一方、売上は商品やサービスの提供が完了した時点で計上する売上高のことです。「いくら売り上げたか」を表しますが、掛取引を行っている場合は売上計上と実際の入金のタイミングは異なります。

 

売掛金管理には売掛金元帳や得意先元帳を利用する

売掛金を確実に回収するためには、日々の売掛金管理を怠らないことが大切です。そのために役立つものが「売掛金元帳」です。「得意先元帳」と呼ばれることもあります。取引先ごとに作成するもので、以下の項目を記載します。

 

・売上計上の日付

・商品の数

・商品の単価

・売掛金の額

・入金の額

・売掛金の残高

 

売掛金元帳を作って管理することで、どの得意先にどれだけの売掛金があるかをスムーズに把握できます。入金日には売掛金元帳と実際の入金額を照らし合わせて、確実に入金されているかを確認し、消込を行います。

売掛金元帳は会計ソフトやExcelで作成されることが一般的です。多くの会計ソフトでは、日々の仕訳を入力することで売掛金元帳を含むさまざまな帳票が自動的に作成されます。Excelで作成する場合は知識が必要ではありますが、自社の使いやすいようにカスタマイズできるというメリットがあります。

 

 

売掛金管理業務の流れ

それでは、売掛金の管理業務の具体的な流れを見ていきましょう。業務内容自体はそれほど複雑ではありませんが、取引先が多い場合は業務量が増えるため、一つひとつの流れを確実に行う必要があります。

 

請求書発行

まずは締日までの売掛金を取りまとめて、請求書を発行します。会計ソフトを利用している場合は請求書も自動的に作成されます。新しく取引を始める場合は、締日や入金日、支払方法、振込手数料の取り扱い、相殺の有無などをあらかじめ相談して決めておきましょう。これらの情報を反映させた請求書を発行します。

 

入金確認

入金日になったら、正しく入金が行われているかを確認します。振込の場合は会社にいながら口座情報を確認できるインターネットバンキングが便利です。その他、現金や小切手、手形、電子記録債権など、あらかじめ決めておいた支払方法で正確な金額が入金されていることを確かめます。

 

入金消込

入金の確認が取れたら売掛金元帳を利用して消込を行います。基本的には、入金によって売掛金がゼロになるものですが、締日や入金日の関係で残高が残る場合もあります。また、一つの取引先において、自社から相手へ販売を行い、自社も相手から購入している場合は、売掛金と買掛金を相殺することもあります。

なお、クラウド会計ソフトには銀行口座と連携して自動的に売掛金の消込を行う機能を持つものもあります。消込作業を大幅に効率化できるため、使っている会計ソフトに搭載されているか確認してみるといいでしょう。

 

過不足金額の対応

消込を行った結果、不足金額のある場合や支払自体のない場合には、まずは電話やメールなどで取引先に確認を取りましょう。先方の担当者のミスによって支払いに不備があった場合は、連絡することで迅速に対応してもらえる可能性が高いです。しかし、度々遅れるようなら注意しましょう。取引先の資金繰りが危うい場合や、支払う意思がない場合もありえます。掛取引をやめる、取引を停止するなど、場合によって対策方法を考えましょう。

取引先から過入金があった場合も、まずは先方に連絡を取ります。過入金を振り込みなどで返金するか、次回の入金と相殺するかなどを相談しましょう。

 

 

売掛金管理業務もアウトソーシングできる

売掛金管理業務をアウトソーシングすることもできます。人員に余裕がなければ、売掛金管理業務を後回しにしがちです。しかし、特に未入金への対応などは迅速に行わなければ回収が困難になることもあります。アウトソーシングすることによって、適時に売掛金管理業務を行うことができ、事務負担の削減にも繋がります。売掛金管理業務にお困りの時はアウトソーシングもぜひ検討してみてください。

(おすすめ関連記事)経理業務をアウトソーシングするメリット・デメリット

 

 

まとめ

商品やサービスを販売して売上が立っても、売掛金を回収できなければ自社の経営が危うくなってしまいます。売掛金の確実な回収は、自社の健全な経営につながります。そのためには売掛金元帳や得意先元帳を利用して、一つひとつの取引先から正しく入金されているかを確認することが重要です。クラウド会計ソフトでは入金消込を効率的に行える機能を備えたものもあるため、有効に活用してスムーズに売掛金管理を行いましょう。