経理お役立ちブログ

2022/11/19

小口現金が合わないときは? 処理の方法と対策について知っておこう

「小口現金の管理が大変だな…」と思っている経理担当者は多いのではないでしょうか。「残高が合わなかったら、どうすればいいの?」「もっと簡単な管理方法はないの?」という疑問を持つ方もいるでしょう。

この記事では、小口現金が合わない場合の対処法や、管理の負担を軽減するための方法について解説します。万が一の事態に備えて知識を持ち、業務効率改善のためにぜひご活用ください。

 

 

小口現金とは?

小口現金とは、日々発生する現金での少額の支出に備えて、社内に用意しておく現金のことをいいます。

少額の現金の支出がある場合は、小口現金を置いておくとよいでしょう。

 

小口現金の概要や管理するときのポイントなどについてはこちらの記事を参考にしてください。

(関連記事)小口現金とは?その管理方法や管理するときの注意点は?

 

 

小口現金が合わないときは

はじめに、小口現金の実際の有高が帳簿残高と合わなかったときにはどうすればいいか解説します。「これまで合わなかったことはない」という方も、知識を持っておくと安心です。

 

現金を数え直す

まずは現金を数え直してみましょう。硬貨や紙幣の種類ごとに数えてその金額を記録し、最後に合計する方法で集計すると間違いを減らせます。現金の種類ごとの数を記入する「金種表」を日頃から使うことで、ミスなく正確に集計しやすくなります。

 

帳簿を見直す

帳簿に間違いがないかの確認も必要です。数字の書き間違い、レシートや領収書からの転記ミス、入出金を反映した残高の計算ミスなどがあれば、実際の現金の有高と差が出てしまいます。帳簿が正確であるかも確認しましょう。

 

記入内容の間違いはなくても、そもそも現金での取引を記入していない場合もあります。特に、社員へ出張旅費や接待交際費を仮払いするときには注意が必要です。仮払いを経理担当者に口頭で申し出て、現金が手渡しされるという会社もあるでしょう。記帳以外に現金が動いた記録が残らない場合もあるため、忙しくても忘れず記帳しましょう。

 

 

小口現金がどうしても合わないときは

「いくら確認してもやっぱり合わない…」というときは、まずは上司などに報告しましょう。社内で処理方法が決まっていれば、それに従って処理を行います。ここで、経理担当者が自腹で補充して帳尻を合わせることは避けましょう。後になって合わない原因が分かったとしたら、「経理担当者が小口現金が合わないことを隠ぺいした」ということになるからです。そうなれば社内の信頼を失うことになってしまいます。「自分のせいかも…」と自分を責める気持ちもあるかもしれませんが、正しい手順を踏んで報告・処理を行うようにしましょう。

 

「現金過不足」を使って仕訳を行う

現金の実際有高と帳簿残高が合わない場合も、適切に記録しておかなければなりません。このときに使う勘定科目が「現金過不足」です。例を用いて見ていきましょう。

 

【例1】帳簿残高が50,000円であるにもかかわらず、現金の実際有高は49,000円だった。

この場合は、帳簿上はあるはずの1,000円が実際にはないということです。この場合は以下のように仕訳を行います。

 

現金過不足 1,000 / 現金 1,000

 

 

【例2】帳簿残高が50,000円であるにもかかわらず、現金の実際有高は55,000円だった。

この場合は、現金の実際有高の方が帳簿残高より5,000円多くなっています。この場合は以下のように仕訳を行います。

 

現金 5,000 / 現金過不足 5,000

 

このように、現金の増減の理由がわからないときに、仮の勘定科目として「現金過不足」を用いて当面の処理をしておきます。

 

 

決算時の注意

「現金過不足」の勘定科目は、一時的に使う仮の勘定科目です。そのため、決算時には適切な勘定科目に振り替えて、「現金過不足」をなくさなければなりません。決算までに正しい原因がわからない場合は、「雑損」または「雑益」の勘定科目を使います。

 

上の【例1】では、実際にあるはずの現金が足りないため、「損」となっています。このため、上の仕訳のまま決算を迎えた場合は以下のように仕訳を行います。

 

雑損 1,000 / 現金過不足 1,000

 

 

同様に、上の【例2】では帳簿より多くの現金が手元にあるため、「益」が出ている状態です。上の仕訳のまま決算を迎えた場合は以下のように仕訳を行います。

 

現金過不足 5,000 / 雑益 5,000

 

 

 

そもそも「小口現金が合わない!」という事態をなくすには?

小口現金の出入りを管理し、残高を確認する作業は毎日行わなければなりません。「合わないかもしれない」という精神的な負担や、合わせるための確認作業の負担はなるべく少なくしたいものです。ここでは、「小口現金が合わない!」という事態をなくすためにできる対策を紹介します。会社の状況に合わせて取り入れてみてください。

 

小口現金をなくす

小口現金管理の負担をなくす一番シンプルな解決策は、小口現金をなくすことです。しかし、会社の意向や状況によっては、簡単なことではない場合もあります。例えば、得意先からの入金が現金で行わる、費用の支払は現金でという契約が結ばれているといった場合です。社外の取引先も関わることは、支払や取引の条件について交渉し、銀行振込やカード決済、口座引き落としを利用するなど、現金を使わない取引を行えるようにしましょう。

 

また、従業員への仮払いや経費の精算についてもルールの整備が必要です。コーポレートカードや経費精算ソフトを利用する、従業員が立て替えている金額は給与と一緒に銀行振込を行うといった対策が考えられます。社内でのルールの変更や申請方法などの周知が必要となるため、開始時期を定めて計画的に移行することが必要です。従業員の反発や思わぬ負担の増加の可能性もあるため、会社の状況を見ながら進めましょう。

 

小口現金を使う機会を減らす

商習慣などから考えて、小口現金を完全になくすのは難しい会社もあるかもしれません。今すぐには難しくても、将来的に小口現金の廃止を見据えて、徐々に小口現金を使う機会を減らしていくという方法もあります。小口現金の出入りを減らせば、社内に保有しておくべき現金の額も少なくなるでしょう。負担を少なくするために、できるところから効率化していきましょう。

 

負担を減らし正確さを保つ仕組みを作る

小口現金を保有し続ける場合は、入出金や集計の仕組みについても考えてみましょう。例えば、コインケースや金種表を使用することで、数えやすくなり人の手によるミスを減らすことができます。また、小口現金を締める時間を早めることで、入出金作業を早めに済ませる習慣がつき、時間の余裕を持って確認作業ができます。仕組みを改善することで作業効率が上がることもあるため、一度業務フローを見直してみましょう。

 

 

まとめ

小口現金の管理はただでさえ手間や時間がかかります。そのため、万が一合わなかった場合に臨機応変に対応できるよう、対処法を知っておくことが大切です。さらに会社の状況に合わせて、仕組みの見直しや小口現金自体の廃止を検討するなど、小口現金にかかる経理業務の負担を削減できるよう考えてみましょう。経理のアウトソーシングやクラウド型サービスを取り入れることも、解決策の一つとなるでしょう。