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2023/9/12

税理士と公認会計士どちらに頼む?両者の違いと目的別の選び方を解説

「会社の経理について相談したい」「会計処理の顧問をお願いしたい」というときに、税理士と公認会計士を思い浮かべる方が多いでしょう。しかし、名前は知っていても両者の違いが分からないという方もいるのではないでしょうか。

この記事では、税理士と公認会計士の違いを分かりやすく解説します。依頼したい業務について、どちらを選べばいいかも紹介しているため、ぜひ参考にしてください。

 

 

税理士と公認会計士の違い

税理士も公認会計士も、企業の会計や財務、税務や経営に関するコンサルティングなど、さまざまな業務を行います。

税理士と公認会計士の違いは、それぞれが果たすべき役割と独占業務にあります。お金に関する業務を行うことは共通していますが、資格取得のために学んでいる分野にも違いがあります。

 

税理士 公認会計士
役割 納税者の過不足ない納税をサポート 第三者の公平な視点で決算書をチェックすること
独占業務 税務書類の作成、税務代行、税務相談 財務諸表監査
科目 【必須】 【必須】
・簿記論 ・財務会計論
・財務諸表論 ・管理会計論
【1つまたは2つ選択必須】 ・監査論
・法人税法 ・企業法
・所得税法 ・租税法
【1つまたは2つ選択】 【1つ選択】
・相続税法 ・経営学
・酒税法 ・経済学
・消費税法 ・民法
・固定資産税 ・統計学
・事業税
・住民税
・国税徴収法

 

 

税理士とは

税理士の独占業務は税務に関する相談・代行、書類の作成です。税理士は税についての専門家であり、納税者が過不足なく税金を納めることができるようサポートする役割を持っています。

税理士の資格を取るには簿記論と財務諸表論のほか、3科目の税法を選択して合格する必要があります。税に関する知識と深い理解を身に付けなければなりません。

加えて、納税者の立場に立って考え、利益やニーズ、悩みに沿った適切な提案を行う必要があります。事業を行っている場合は個人・法人を問わず税の申告を行う必要があるため、個人事業主や中小企業などが顧客となっている場合が多いです。

 

公認会計士とは

公認会計士の独占業務は財務諸表の監査です。監査とは、第三者の公平な視点で、会社の作成した決算書が正しく作られているかをチェックすることです。監査を受けることは、大企業や上場企業に義務付けられています。そのため、公認会計士の顧客には大企業や上場企業が多く含まれます。

決算書は投資家や株主、融資を行う金融機関にとっての判断材料となりま。そのため、第三者の立場から公平な監査を行って、会社が作成した決算書の信頼性を証する必要があります。

税理士が税務の専門家であるのに対して、公認会計士は企業の経営に関する幅広い知識を持つ専門家です。公認会計士は税理士登録も可能であるため、公認会計士という肩書で税務も行う場合があります。

 

 

税理士と公認会計士のどちらを選べばいい?

「2つの違いは分かったけど、結局どちらを選べばいいの?」と思った方もいるかもしれません。ここでは、どちらに依頼すればいいかを内容別に紹介します。

 

決算処理

中小企業であれば、決算処理はどちらに頼んでも問題ありません。税理士や公認会計士それぞれに得意分野や実績があるため、依頼する際に重点を置きたい事柄があれば参考にしてもいいでしょう。

大企業や上場企業、上場予定の企業は監査を受ける必要があるため、公認会計士に監査を依頼しなければなりません。監査は公認会計士に、税務は税理士に頼むというケースが多く見られます。ただし、税理士登録をしている公認会計士や、両者が所属している事務所であれば、税務と監査の両方を一度に依頼することもできるでしょう。

 

節税の相談

税金に関する相談は税理士の独占業務であるため、税理士に依頼しましょう。ただし、公認会計士の中には税理士登録をしている人もいるため、肩書が「公認会計士」であっても税務を行える場合があります。詳しく聞いてみるといいでしょう。

 

経営に関する相談

経営に関する相談は、税理士・公認会計士のどちらにも依頼できます。得意分野のある税理士・公認会計士もいるため、ホームページで調べたり、問い合わせてみたりするといいでしょう。

 

 

事務所の名称について

税理士や公認会計士は、事務所を構えていることが一般的です。事務所の名称についても理解しておきましょう。

税理士が設立する事務所には「税理士事務所」、公認会計士が設立する事務所には「会計士事務所」の名称が使えます。「会計事務所」の名称は、税理士・公認会計士ともに使うことが可能です。

ただし、税理士が「会計士事務所」にいる場合も、公認会計士が「税理士事務所」にいる場合もあります。依頼するときは事務所の名称だけで判断せず、詳しい業務内容を問い合わせてみるといいでしょう。

 

 

まとめ

税理士は税務、公認会計士は監査の専門家です。お金に関する業務を行うことは共通していますが、独占業務やその目的、果たすべき役割などが異なります。

中小企業や個人事業主の決算であれば、どちらに依頼しても問題はありません。依頼したい内容について強みを持つ税理士や公認会計士に頼むといいでしょう。