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2022/10/15

月次決算とは?目的や内容、業務を行う上で大切な点を解説!

「決算」と聞いて思い浮かべるのは1年に1度の「年次決算」ではないでしょうか。しかし、ひと月ごとに行う「月次決算」を行う会社も多くあります。「年次決算を細かくしたものではないの?」と思う方もいるかもしれませんが、同じ「決算」でも目的が大きく異なるものです。この記事では月次決算について、年次決算との違いを踏まえて解説します。

 

 

月次決算とは?年次決算との違いとは

月次決算とは、月ごとに行う決算のことです。行う処理や流れは年次決算と同じ部分もありますが、その目的は大きく異なります。

 

1.月次決算の目的

年次決算の大きな目的は、経営活動の結果を決算書にまとめ、外部に伝えることです。決算書は、税務署への申告・納税や、出資や融資の判断材料として株主や金融機関への開示をするために用いられます。つまり、会社外部への情報提供を行うための重要な業務です。

 

一方で月次決算の目的は、会社の経営状態を迅速に正しく把握し、経営判断に生かしていくことです。つまり、会社内部のために行うのが月次決算です。年次決算はすべての会社に義務付けられていますが、月次決算を行うかどうかは会社に任せられます。作成書類の形式にも決まりはないため、会社の必要に応じた形式でまとめることができます。

 

 

2.月次決算のメリット

月次決算を行うメリットは、経営状態を迅速に把握できることです。年次決算でも経営状況はわかりますが、臨機応変な経営判断を行うには周期が長すぎ、決算処理が完了するまでの時間もかかります。月次決算は年次決算と同様の流れで処理しますが、年次決算よりも業務量は少ないため、迅速に締めることができます。逆に言えば、月次決算のメリットはリアルタイムに近い経営状況を把握できることにあるため、なるべく早く締める必要があるということです。

 

また、月次決算を行うことで抜けや漏れを早期に発見して対応できます。そのため、年次決算の負担を減らせる点もメリットです。

 

月次決算をしていることは、金融機関にとってもプラスに捉えられます。融資を受けたい場合は直近の経営状態を伝えることが必要であるため、月次決算を行っていれば迅速に資料を提出することができるでしょう。その結果、融資を受けやすくなったり、短期間で融資を受けられたりといったメリットがあります。

 

 

 

 

月次決算の具体的な業務

月次決算の具体的な業務内容は、以下のものが一般的です。

 

1.現金・預金の残高を確認する

まずは現金や預金について、帳簿残高と実際の有高に差異がないか確認します。差異が見つかればその原因を探り、修正を行いましょう。

 

2.棚卸を行う

材料や商品の数量管理を棚卸によって行っている会社は多いでしょう。毎月行う場合は、棚卸によって在庫金額を確定させます。

 

3.仮勘定の仕訳を修正する

仮払金や仮受金など、用途や金額が確定しない場合に一時的に行っている仕訳があれば、適切な勘定科目や金額に修正します。

 

4.経過勘定の仕訳を行う

経過勘定とは、あらかじめ1年分の料金を支払っている、あとから半年分の料金を支払うことになっているなど、費用が月をまたいでいる場合に行う処理です。その月の費用を正しく把握するために行います。

 

5.減価償却費、引当金などを計上する

年間の減価償却費や引当金をあらかじめ見積もった上で、ひと月分の費用を各月に振り分ける作業です。経過勘定と同様に、その月の費用を正確に把握するための処理です。

 

6.月次決算書などを必要に応じて作成する

月次決算で作成する書類に決まりはありませんが、以下のものは多くの会社で作成されます。

 

・損益計算書

・貸借対照表

・資金繰り表

・合計残高試算表

 

このほか、部門ごとの書類、予算と実績を比較する書類、前年と対比するための書類など、会社の必要に応じたものを作成します。

 

7.経営層へ報告する

書類が完成したら経営層へ報告・提出します。そして経営層は書類を活用して以後の経営判断や戦略策定を行います。

 

 

 

月次決算を行う上で大切なこと

年次決算は、主に外部への情報提供のために行う「財務会計」です。そして月次決算は、内部での情報活用のために行う「管理会計」です。管理会計を行う目的は、スピード感を持って正しい経営状況を把握することです。しかし、処理内容が多い場合や複雑な場合にはどうしても時間がかかってしまうものです。そのため、「月次決算(管理会計)によって何を知りたいか?」の優先順位を決めておくことが大切です。

 

もちろん、あらゆる細かい情報を記録しておけば、様々な場面で活用できるでしょう。しかし、すべてを網羅したいがために時間がかかってしまえば、臨機応変な経営判断ができない可能性もあります。例えば、費用の正確性よりも売上の把握を優先する場合に、経過勘定や減価償却費の月割り計上を省略するという方法もあります。

 

効率的に月次決算を行うための仕組みを作っておくことも大切です。例えば、部門別の売上を把握したい場合に、勘定科目を「売上(A部門)」「売上(B部門)」という風に分けておくことで、会計ソフト上でダイレクトに部門別の売上を把握できます。部門別の売上額の資料をエクセルなどで別に作っている場合は、業務が効率化されて迅速な処理に繋がります。

 

そして、作成した書類からしっかりと分析を行うことも大切です。実際に経営判断を下すのは経営層ですが、経理担当者から見て気づいた点は報告するといいでしょう。前月や前年と比較して数字に大きな違いがある場合は、その理由を理解することで経営層へ提案ができます。また、ミスによって大きな違いが出ていることもあるため、提出前に気付いて修正することもできるでしょう。「書類を作って終わり」にしないことで、個人のスキルアップにも繋がります。

 

 

 

まとめ

年次決算はルールに従って書類を作成することがゴールですが、月次決算は書類の作成後、いかに経営に生かしていくかが大切です。月ごとの数字の違いや推移に注目することで、経営についての広い視点を持って日常の業務を進めることができます。こうした判断力や分析力は、AIやソフトウェアに取って代わられることのない貴重なスキルとなるでしょう。また、月次決算からの経営判断がどのように数字へ影響をもたらしていくかをじかに見ることができるため、経理や経営の面白さを改めて知ることができるかもしれません。